HEALINGMIX-F

2004年春。未だに口を開けば『癒し』『マイナスイオン』で、まずはその反射神経の鈍さとマーケットリサーチの不足さ加減と胡散臭さに驚かされる文具業界の昨今ですが、その集大成というか全部入りというか、ともかく相当にアレなボールペンです。

この【HEALINGMIX】は、『揺れる・光る・マイナスイオンが発生する、癒しを演出するボールペン』だそうで、軸が発光しつつ振動してマイナスイオンを出します。なんだそりゃ。

モノとしては、ホタルの光の明滅パターンを取り入れた普及機のRタイプ(定価¥3,000)と、振動と光に1/fゆらぎを取り入れた上位機種のFタイプ(定価¥5,000)の2種類が発売されています。イロブンとしては、無駄に高額で笑えそうなFタイプをゲットしてみました。最近はすっかり無駄ゼニを使うことに馴染んでしまってます。なんかマゾ開発された気分ですご主人様。

さて、では実際に使ってみましょう。ボタン電池をセットして電源を入れると、筆記動作(振動)を感知して、ぶぃぃんぶぃんと微振動しつつ、軸中央のLEDが点滅しはじめます。柔らかめのゴムグリップには、なにやらマイナスイオンを発生させる物質(たぶんトルマリンのこと)を混ぜ込んであり、このグリップを擦るだけでマイナスイオン出し放題。もう毎日がマイナスイオン祭り。さぁこれでリラックス環境は整いましたよ。僕も貴方も癒されてリラーックス!

…ハァ

すいません、この馬鹿さ加減にゴリゴリと突っ込んでいこうと思っていたんですが、能書きを抜粋したり実物をいじってるうちに、どんどんココロが澱んできまして。逆癒し。

えーと。まず振動に関してなんですが、日本生理人類学会での『R-R間隔からみた筆記具の振動付与の効果』という、とにかく「筆記具から振動を与えると心臓の鼓動がゆったり座った状態に近付くよママン」なる内容らしき発表に基づいてるらしいです。発表の詳細が見つからなかったので、理屈に対する反論はしようがないんですが…書いてる最中に軸がブィンブィンと振動したら、とても筆記作業に集中できたもんじゃねぇぞオイ、というのは確かです。この振動、軸内の小型モーターに錘をつけてブン回して発生させているんですが、動作音がまた結構うるさくて、リラックス環境にはほど遠いです。

ついで光ですが、筆記動作の強弱に会わせて、青/緑の光が交互に点滅します。で、実はこの点滅のパカパカ具合が、わりとピカチュウに負けてません。光のコントラストが弱いので、それほど心配はない…と思う…んですが…なんか暗いところで見てると、けっこう脳にキそうな感じです。単色・一定周期点滅のRタイプの方がまだマシっぽい。こっちのが2000円も高いのに。

最後にマイナスイオン。コイツの人体への影響云々に関しては、未だ肯定/否定するだけの結果も出ていないので置きますが、それより何より「このゴムに混ぜ込まれたという物質とやらは、どこからマイナスイオンを発生させるエネルギーを得ているのか」を教えて下さい。永久機関が練り込まれているのでしょうか、はたまた放射能物質なのか。ともあれ、国内でも有数の文具会社がこんなオカルトで5000円も取ってるようでは、業界の未来は暗いぞ。

やっぱりどう考えても無駄ゼニだったみたいですご主人様。ああん。

入手時期:2004年2月

価格:5000円

生産国:日本

販売元:ぺんてる



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